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頭皮針治療
発表論文
症例
 病名:脳梗塞、嚥下性肺炎 高血圧 鬱血性心不全 73歳 男性
初診 H6.2.9

既往歴 H2年 多発性脳梗塞

病歴 H5.12.31 歩行障害
H6.1.3 上肢のしびれにて他院入院
入院後一時完全麻痺となったが、1.10よりリハビリ開始し不全麻痺の状態に回復した。1.12頃より肺炎併発し治療後転院となる。

初診時所見
意識明瞭、右顔面神経麻痺、右上下肢の不全麻痺があり、特に上肢の筋萎縮著明で、肩関節は亜脱臼に近い状態で疼痛を訴えた。知覚異常は認められず、深部反射は軽度亢進していたが、膝クローヌス、バビンスキーは(-)であった。

治療経過
リハビリを開始したが筋萎縮と、筋力低下のために、効果が得られなかった。3.1より頭皮針治療開始、刺針直後より上肢または下肢を動かすと頭に強い<響>を訴え、右上下肢ともに筋力アップが見られた。置針状態でリハビリをしたところ平行棒歩行が楽にでき、上肢は坐位でほぼ挙上不能であったのが、口まで挙上可能となった。抜針後には右半身に力が入らなくなり、自覚的には元に戻った様な感じになった。その後頭皮針治療を繰り返す度に同様の響が得られ、抜針後には同様の脱力状態になった。しかし、理学療法士の評価によれば、3月1/4/7/10日の4回の治療で確実に回復している事が確認された。

理学療法士の評価
リハビリ開始時から上肢、下肢ともに弛緩した状態で随意性も低く上田の片麻痺回復段階で上肢3、下肢7であった。刺針後、上下肢とも随意 性が高まり上肢8、下肢9まで回復した。上肢においては坐位でほぼ挙上不能であったものが、口まで挙上可能となり、背中の後方に手が回るようになった。下肢においては臥位での足関節背屈、坐位での膝の屈曲が可能となり、平行棒内歩行でも安定性が増した。抜針後やや随意性低くなるが、3/14現在、上肢に顕著な回復が見られ、グレードは上肢7、下肢7まで回復している。

考察
本例で得られた響は得気といわれ針治療の重要なサインである。得気があれば針の効果は大きいとされている。今まで脳性麻痺の小児や、痴呆性の患者が多かったため、得気を表現した患者は本例を含め2例であるが、2例とも明らかに効果が見られた。本例は治療開始時に筋萎縮が著名で肩関節が亜脱臼に近く運動制限が見られるため回復に時間がかかると予想される。筋萎縮前に治療を開始できたらと残念な症例である。本例の様に頭皮針と理学療法の併用(中西医結合)は脳卒中の早期理学療法に最適であると考える。
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